睡眠時無呼吸症候群
あなたの睡眠は大丈夫ですか?
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と大きな関わりを持ち、その有病率は1~2%とも言われ、極めて多い病気であることが明らかになってきました。また、放置された重症な無呼吸では、睡眠中の血中酸素濃度の低下、睡眠の質の低下、深睡眠の欠如が、心臓・循環器系の負担を増し血圧の上昇・動脈硬化などと共に生命を落とす合併症を引き起こすとの報告があります。
睡眠時無呼吸症候群は、医学的にも社会的にも放置できない重要な病気です。 もしも自分が睡眠時無呼吸症候群かな?と感じたらご相談ください(簡易検査と入院検査があります)。あなたの睡眠の質と呼吸の状態を調べます。
無呼吸症候群とは?
「睡眠時無呼吸」とは、睡眠中に呼吸が10秒以上停止する事をいい、 1時間に5回以上ある人は、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。 呼吸が止まると肺に酸素が取り込めず、酸欠状態となり身体への影響は重大です。
高血圧・心臓病・脳血管障害など生活習慣病と言われる病気を招き、かつ悪化させます。 放置しておくと死にいたる危険性が報告されています。 睡眠の質を低下させ、脳波上頻回に睡眠の分断が記録されます。 深い睡眠がとれず昼間の眠気、早朝の爽快感がみられない、疲れやすい、気分が沈む、 作業能率が低下などが見られます。 子供の無呼吸症候群は成長発育障害に大きく関係しています。
なぜ改善させなければいけないのか?
睡眠呼吸障害は 1.血中の酸素濃度低下と 2.睡眠の質低下を引き起こします。 患者さんは寝つきが良いのに寝た気がしない、昼間の眠気・だるさ、 早朝の爽快感 が得られない、作業能率の低下、いびきなどの症状を訴えて来院されます。 しかし、実は寝ているときに呼吸が止まるなどの重大な負担が毎日の睡眠で起きています。
1.血中の酸素濃度低下:肺に十分な酸素を吸い込め無い為に、心臓は多くの血液を 肺に送り込み酸素濃度の維持に努めます。その結果、心拍数の増加・肺動脈圧の上昇・血液に粘りが生じる・右心室の負担増 などが生じて、睡眠中の心肺機能の安静が保てなくなります。
2.睡眠の質低下:浅い睡眠が多く、深睡眠が無くなります。 そして睡眠の分断(目が覚めずに脳波記録により確認される)が頻繁に起るようになります。 深睡眠は副交感神経が働き体の各臓器の休息状態が保たれますが、 睡眠の分断は交感神経を興奮させ自律神経のスイッチ切替が頻回に起ります。
その結果心臓の脈拍が増加・全身血管系の収縮・早朝高血圧・左心室の負担増・動脈硬化 などを起し、生命を脅かす重大な合併症(脳梗塞・心筋梗塞・突然死)の発生が報告されています。 生活習慣病の予防には食事制限・運動療法だけでなくよい睡眠を確保する事が必要です。
治療法
CPAP: 経鼻的持続陽圧呼吸療法(保険適応)
鼻にマスクを着けて空気を送り込み、上気道の閉塞を防ぐ方法です。 成人の閉塞性無呼吸の治療に最も効果的です。
歯科装置:マウスピース
下あごを前方に突き出させるように工夫したマウスピースを装着すると、 気道が広がり中等度のいびきや無呼吸が消失します。 H16年から保険適応となりましたが、終夜睡眠ポリグラフィー検査が必要です。
外科的手術
肥大した扁桃腺やアデノイドの除去手術は効果大です。 また咽頭形成手術なども行われますが、適応を十分検討してから受けることが重要です。